狗猫は二度死ぬ

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  ────パチン! 私は右手を高く上げ、軽快な音を鳴らした。 俗に言う指パッチンである。 「話をしよう」 「一々ウザいな、お前」 グサッ……!! 狗猫 に 5 の ダメージ !! ノリ良さげだからリアクションに期待していたのに、蓋を開けたらとんだ毒舌野郎だった。 川での慌てっぷりは驚いただけのようで、もう冷めた感じだ。 くそぅ……自分がイケメンだからって主人公面しやがって…… (※していません) 「さて、悪ふざけは終わりだ」 「お前だけじゃろうが」 「幾つか質問があるんだけど……答えてくれる?」 人に頼む時は控え目に、これって大切ですよねー。 イケメンは小さく溜め息を洩らしながら、適当な岩に座った。 よし、オッケーと取る。 「まずは……うん、とりあえずは自己紹介からね。 私は犬飼嶺子、アンタは?」 「……辰本龍(タツモト リュウ)じゃ」 DQNネームですね分かります。 さて、名前も知れたし、本格的にDQNやろ──辰本君から色々と情報を頂くとしよう。 ……と、その前に。 『一応』確認しておこう。 「こう言って解るかどうか微妙、ってかほぼ確信してるけどさ……辰本君も『私と同じ』でしょ?」 ──数秒間の沈黙、それが肯定を意味していることくらい分かる。 何故なら、彼が今着ている上着は黒色の『学ラン』だから。 そう……おそらく彼も、何らかの形で飛ばされた『故人』なのだ。
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