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……しかし、アレだ。
さっきから私とオッサンしか会話してないじゃないか。
もっとノってこいよ2人共。
という思いで隣の辰本君に視線を向けると、市丸ギンもビックリの突き刺すような眼光でオッサンを睨んでいるではないか。
「た、辰本君……?」
「…………」
話し掛けても、反応は無し。
また無視かよ(´・ω・`)
だがまぁ……理由は解る。
それだけ神経を研ぎ澄まさないといけないくらいの危険性を、このオッサンは秘めている。
辰本君の額を伝う冷や汗が、その何よりの証拠だ。
辰本君にガン見されていることに気付いたオッサンは、辰本君とは対称的なユルい感じで笑った。
「オイオイ、怖い顔すんなよ。
別にお前らを殺しに来たわけじゃねぇ、オイタした娘を連れ戻しに足を運んだだけだ」
辰本君の威嚇にも全くビビらず、構えようともしない余裕っぷり。
なんて精神力だ。
このオッサンなら俺の嫁Tシャツで学校の文化祭に行っても奇異の眼差しに耐えられるだろう。
……と、その時。
軽く空気化してた若葉が急に立ち上がり、オッサンの胸ぐらに掴み掛かったではないか。
「セブンスター……!
何しに来たんだよ!」
「何しにって……お前が下らねぇことしやがるから、わざわざ俺が来てやったんだよ、馬鹿娘」
しかし……さっきまでオッサンに怯えていた若葉が、あんなに激昂しているのは、どうして……?
その理由は、次に若葉が吐き出す言葉で理解出来た。
「お前に……パパとママを殺したお前に『娘』だなんて、死んでも言われたくないんだよ!!」
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