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「ところで嬢ちゃん、もしかしてお前……若葉のことを『友達』だとでも思ってたのか?」
オッサンのその言葉は、厭らしいほどに含みがあって、私を馬鹿にするような口調で。
それが無性に……腹立たしい。
2日間、一緒に旅をした。
たったの2日間。
ただ、それだけ。
それが私と若葉の関係。
短すぎて、薄っぺらすぎて、何の歴史も思い出も無い関係。
……それでも、私は。
「……思ってるよ。
若葉は私の『友達』だって」
「っ……犬飼……」
「だから……若葉のことを馬鹿にするアンタが、大っ嫌いだ」
チラと若葉を横目で見ると、瞳に溜まっていた涙がついに溢れて、幾つも頬を伝っていた。
…………そうだよ、私はどうしてショックを受けていたんだ。
『若葉がスモーカーズの一員』?
どうせ、そこのオッサンに弱味を握られたり、唆されて殆ど強引に加えられたに決まっている。
百歩譲って、若葉が自分の意思でチームに入ったとしても、それが『若葉=悪人』じゃない。
私と若葉は……『友達』だ。
私は若葉を信じる。
若葉だって、きっと私を──
「若葉は嬢ちゃんを『友達』とは思ってねぇだろうがなぁ」
──アカン、私キレそうや。
「ハアアアアア!!?
アンタに私と若葉の熱々な関係の何が分かるんですかぁ!?
いつ若葉が私を友達じゃないとか言ったんですかぁ!?
何月何日の何時何分何秒の地球が何回回った時ですかぁぁ!!?」
「犬飼、落ち着け。
あと『何』使いすぎじゃ」
※『何』がゲシュタルト崩壊した方々、申し訳ございません。
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