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「俺はコイツに『若葉』の称号を与え、俺の監視下に置いた!
そして、こう言ったんだ!」
『────俺が憎いか?
だったら、俺を殺してみろ。
俺を殺せたなら、セブンスターの称号をお前にくれてやる。
そうなれば、組織を抜け出そうがどう立ち回ろうが、誰にも文句は言われやしねぇ!
この俺を殺して、自由を奪え!』
「オッサン、アンタそれ……!」
「そうだ、ただのジョークだ!
だがその言葉で、コイツは生きる目的と活力を手にした!
一生かかっても成し得ないような希望に目を輝かせてなぁ!」
コイツ、本当に最低だ……!
分かっていたくせに。
自分が物凄く強くて、その自分を殺すなんて女子供には無理難題なことだって。
殺されない自信があったくせに。
コイツは、若葉の心を利用した。
直線的な復讐心を飼い慣らした。
許せない。
コイツのせいで、若葉は……!
「だが……上手くいかなかった」
今にも床を蹴り出してオッサンにタックルしてやろうかと脚に力を込めようとした時、そんな言葉とオッサンの溜め息が聞こえた。
動作を急停止したせいで、態勢を軽く崩してクラウチングスタートみたいなポーズになった私。
なんというシリアス殺し(笑)
「『上手くいかなかった』?」
「若葉の中の狂気は、俺の目論見通りには育たなかった。
考えていたよりも遥かに脆弱で、しかも制御不能だった」
ちなみに、今こう喋っている間も私は依然クラウチングスタートのポーズである。
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