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陸上選手チックな私に対して誰もツッコまないという異空間の中、オッサンが先程までとは全く違う憐れむような目で若葉を見た。
「若葉を拾ってから、数えるのも面倒なくらい狙われたぜ。
まぁガキの安易な行動だ、微塵も怖くはなかったがな」
あれ、若葉ってそんなに攻撃的なキャラだったっけ?
足ツって服ごと川に流される天然キャラだったような……
「だが……3年くらい前からだ。
前触れ無く、若葉の殺意の矛先は『俺じゃなくなった』」
「…………は?」
「コイツは『俺以外の人間』まで襲っちまうようになったんだよ」
…………?
それ、どういうこと?
両親を殺した人じゃなくて、全く別の誰かを襲ったってこと!?
えっと…………何で!?
「最初の被害者は、グループ内で若葉の教育係みたいな立場だった若いメンバーだった。
若葉に恨まれるようなことなんて何一つしていなかった筈なのに、突然寝込みを若葉に狙われた。
死にはしなかったが、ほぼ半殺し状態にされちまってたぜ。
それから今日に至るまで、若葉に殺されかけた奴は2桁以上いる。
その中には、たった1日会話しただけの奴だっていた。
まぁ今のところ死者は0だがな」
『たった1日会っただけの人』
それを聞いて、背筋が震えた。
それはまさに……今の私達と殆ど同じ状況じゃないか。
何の罪も恨みも無い人を、若葉は無差別に襲っている……?
「若葉、どうして……!?」
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