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「お前ぇぇぇぇぇえっっ!!!」
全てを知ったと同時に、頭の中で何かがぷっつりと切れた。
溢れそうな何かが爆発した。
気が付くと私は腹の底から怒気を撒き散らし、セブンスターに全力のハイキックを繰り出していた。
無我夢中に、感情に任せて。
──コイツのせいだ。
コイツが、若葉の両親を殺した。
若葉の心を弄んだ。
振り回して、掌の上で転がして。
そして今また掻き乱した。
コイツのせいで、若葉は……!!
────バシィッ!
「おぉう、意外と喧嘩っ早いじゃねぇか嬢ちゃん。
綺麗な脚、もがれてぇのか?」
…………が、届かない。
見透かされたように、私の蹴りはオッサンに当たらなかった。
いや、それは薄々分かっていた。
テリーマンに止められた攻撃だ、コイツに通用する筈もない。
ただ……ガードだけならまだしも『足首を掴まれる』なんて、余程実力差が無いと有り得ない。
これが一組織のトップに君臨する本当の実力者……!
そして、足首を掴まれたことで、私は今オッサンにパンモロしてる状態になっているのである。
「ちょっ……離せよ!」
「大体、若葉が狂っちまったのはコイツの弱さが原因だろうが。
そこまで責められる筋合いなんざ微塵も無ぇんだよ。
嬢ちゃんが口出しすること──」
「語る前に離せってば!」
シリアスパートでタイプでもないオッサンにパンツ見せびらかした私の心中をスルーしないでくれ!
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