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「っ……勝手なこと言うなよ!
アタシはお前の友達じゃねぇ!」
「私と若葉は友達なの!
私が言うんだからそうなのー!」
「子供か、お前は」
軽く空気と化しつつある辰本君が何か言ってるけど無視。
いつもスルーされる私の空しさをそこで味わってろ。
私は短刀を握っている若葉の腕を離し、両手で若葉の肩を掴んだ。
「若葉は悔しくないの!?
こんな老けてて無精髭生やしてていい歳してチームなんか作ってる高校に入るまでろくに異性に相手されてなかったっぽいオッサンの言いなりになってるんだよ!?
見返したいと思わないの!?」
「嬢ちゃんの中で俺のキャラ設定どうなってんだ……」
黙れオッサン。
若葉の異常ともいえる被害妄想。
その根源にあるのは、オッサンに対する憎しみと、それをも上回る圧倒的な恐怖……だと思う。
それを克服するためには、若葉が自分の意思で、それに立ち向かうしかないんだ。
「…………無理だよ。
アタシには出来ないんだ。
誰かを殺すことも、逃げることも何も……出来ないんだよ!
だから、これ以上アタシみたいな人を増やしたくないから!」
でも、今の若葉には立ち向かえるだけの強さが足りない。
ついでに速さも足りない。
だったら……その足りない分を、私が支えてやればいい。
「『出来ない』って、オッサンにそう言われたから信じるの!?
こんなオッサンの言うことなんかに惑わされるなよ!
私を信じてよ、若葉!
若葉を信じる私を信じろ!!」
「っっ……!」
ここで「兄貴!」って思った人、私と友達になりましょう。
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