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──それは、訣別の意志。
若葉は今、確かに宣言した。
ほんの少しの勇気が、若葉を長く苦しめていた鎖を引きちぎった。
その確かな瞬間だった。
その言葉に最も驚いていたのは、オッサン……ではなく、他ならぬ若葉自身だった。
「あ……えっと……」
「……若葉ァ……!」
「ひっ……!?」
オッサンの表情が、驚愕の色から段々と険しくなっていく。
どうやら自分でも無意識に叫んでいたらしくて、若葉はオッサンのその迫力に気圧されている。
「若葉! 逃げちゃ駄目!」
でも……『今』だ。
今ここで戦わないと、ここから先若葉は恐怖に立ち向かえない。
どんなに怖くて、泣き叫びそうになっても……それでも!
私のその気持ちが伝わったのか、油断すればすぐにでも数歩引いてしまいそうだった足を、辛うじて若葉は制止した。
「っ……セ、セブンスター!
アタシはもう振り返らねぇ!
今は空っぽだけど……もう一度、友達と一緒に人生をやり直す!
次はちゃんと、自分の意思で!」
「…………」
「だから……だから!
アタシはお前を『殺さない』!
復讐なんかしなくたって、アタシには友達がいる!
お前の命なんか、要らねぇ!!」
額から冷や汗を流しながら、肩で息をしながら。
若葉は言い切った。
しっかりと、自分なりの言葉で。
昨日までの、誰かに頼ってばかりだった若葉は、もういない。
今ここにいる若葉は、不器用でも確かな強かさを心に秘めた、私の大切な……『友達』だ。
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