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「……それが、お前の意思か?」
若葉の言葉が途切れてから最初に口を開いたのは、やはりオッサンだった。
凄まじい重圧を威圧感を乗せた、たった一文の短い言葉。
それは、必死に堪えていた若葉の足を後ろへ下げるには充分すぎる力を纏っていた。
────コツン。
オッサンが若葉に歩み寄る音が、静かな部屋に響く。
「おい……!?」
「待て、オッサン!」
私と辰本君が同時に言うが、もうオッサンは私達の方を見向きすらしなかった。
真っ直ぐに若葉だけを見ている。
対する若葉はというと、恐怖心が再び湧き上がってきたのか、その場から動けずにいるようだ。
「あっ……犬飼……!」
若葉が涙目になって、私に助けを求めようと口を動かしている。
……しかし、私が動き出すより、若葉が言い終えるより早く。
セブンスターの右手が、若葉の頭をガシッと掴んだ。
そして────
「そうか……良かったな、若葉」
わしわしと、若葉の頭を撫でた。
( ゚д゚ )←私
( ゚A゚ )←辰本君
……いや、ビビった。
マジでビビった。
若葉が殺されるかもしれないって思ったから拍子抜けしたっていうのもあるけど、それよりも──
「セブンスター…………様?」
「良い友達じゃねぇか。
もう襲ったりすんじゃねぇぞ?」
オッサンの表情が、まるで本当に娘を思いやる父親のように優しいものなのが、何よりも驚いた。
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