若葉

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  「犬飼ィィッ!!」 初めて聞いた辰本君の叫び声が、全員の鼓膜を震わせた。 そして……次の瞬間、オッサンの体が『吹っ飛んだ』。 「うぉぉっ……!!」 「辰っ……!?」 なんと私と若葉が怯んでいる中、辰本君だけが全く臆することなく目にも止まらぬ蹴りをオッサンに放っていたではないか。 キックで大の男を吹っ飛ばすとは相変わらず凄い……が。 辰本君の凄まじい威力の奇襲を、オッサンは肘でガードしていた。 2メートル程だけ宙を舞ったが、すぐに態勢を整えて着地した。 この一連の動きで、理解出来た。 辰本君とセブンスター。 身体能力は『拮抗している』。 それも、相当高い水準で。 2人の間に割って入る余地など、私には微塵も無いだろう。 ましてや若葉なんて更にだ。 ……だとしたら、さっき辰本君が叫んだ理由は? ────これだ! 「若葉、こっち!」 「えっ? えっ? 犬飼!?」 辰本君がオッサンの動きをマークしている間に、今取るべき最善の行動を叩き出した。 若葉の手を強引に引っ張り、私が向かったのは……『窓』。 ちなみに、この部屋は3階です。 「辰本君、任せたぁぁぁ!!」 そして、私は若葉を抱えると── 窓から、外に飛び出した。 (※良い子は真似しないでね☆)
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