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若葉を背中に乗せ、痺れる両膝に鞭を打ち駆け出した。
目的地は、ギルドの駐屯所。
道中でギルド支部員かユッキーに会えたなら御の字だ。
「犬飼、待ってってば!
辰本さんはどうするんだよ!?」
「置いてきた!」
「置いてきたって……何で!?」
「決まってるでしょ!
オッサンを倒すためだよ!」
若葉がギャーギャーと言ってくることは想定済み。
だから有無を言わさずこの行動に出たんだ。
辰本君は分かっていた。
オッサンの強さと危険性を。
自分しか真っ向から戦える人間がいないことを。
ギルド支部の拠点があるこの街に幹部が1人のこのこやってくる、そんなことが有り得るのか?
もしかしたらすぐ近く……或いは既に街の中に、オッサンの仲間が潜んでいるんじゃないか?
そこまで読んで辰本君は、敢えてオッサンから逃げなかった。
「辰本君が時間を稼いでくれる!
その間に私達は、ギルドの人達にこのことを伝えるんだ!」
全ては、勝つために。
辰本君がセブンスターを。
私が影にいるであろう連中を。
「……でも、いくら辰本さんでもセブンスターには──」
「辰本君は負けない!!」
「っ……犬飼……」
確かに不利かもしれない。
たった3人で組織の頂点に挑もうなんて、無謀かもしれない。
それでも……大丈夫。
辰本君なら、きっと!
(私は信じるよ……辰本君!
辰本君は勝つって!
誰が相手だって、必ず……!!)
【世界の番人】ギルド
VS
【煙の王】スモーカーズ
全面戦争、第一幕──開演。
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