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(──今のを防ぐか……)
目の前で首を鳴らしながら不敵な笑みを浮かべているセブンスターを見て、思わず舌打ちをした。
完全に意表を突いた筈だ。
速さを重視したため完全に体重を乗せ切ることは出来なかったが、脚の比重も考慮に入れれば数日前パーラメント(名前は忘れた)とかいう奴を殴った時くらい吹っ飛んでもおかしくないくらいの威力で蹴ったつもりだ。
「今のは良い蹴りだったなぁー。
だが、もっと体重をしっかり乗せねぇと俺には届かねぇぜ?」
……が、結果は見ての通り。
一切のダメージを負わずピンピンしている。
あのタイミングでガード、しかもわざと自ら後方に吹っ飛ばされて衝撃を殺すなど、余程の熟練者でなければ出来ない芸当だ。
セブンスターの冠は伊達じゃない……パーラ何とか(冠すら忘れた)とは次元違いの強さだな。
つくづく、犬飼が頭の回転が早い女で良かった。
あの2人がこの場に居ても、戦力には数えられなかっただろう。
最悪、人質にされる可能性だって考えられたくらいだ。
「……悠長なオッサンじゃのぉ。
自分の娘を追わんでいいんか?」
「何だその訛り……まぁいい。
そっちは俺の『仲間達』が上手くやってくれるだろうよ」
ほっとけ、訛りは。
それはさて置き……やっぱり単身突っ込む真似はしない、か。
まぁ、仲間を忍ばせていることは想定内のこと。
頭の中で、直感が囁く。
『コイツを壊すのが先だ』と。
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