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(はっっ……!!?)
椅子が壊れて、木片が散らばる。
そのシーンを見て、戦慄した。
『1秒』
椅子を蹴り上げ、その椅子が床に衝突するまでの経過時間だ。
そして、それと同時に──
『俺とセブンスターの先程の拳の撃ち合いでの経過時間』だ。
3メートルもの距離を瞬きの間に詰め、左の拳を突き出し、それを俺が避け、カウンターを放つ前に腹に膝を打ち込まれた。
油断すれば骨を折られていたかもしれないその組み合いの全ては、僅か『1秒』の出来事だった。
「ハッ、どうした金髪!
ビビっちまったかぁ!?」
「っ……喧しい……!」
口からは強がりが出るが、確かに俺は動揺している。
たった1秒をここまで長く感じたのも初めてだし、そう錯覚させる程の存在感を俺に与えてきたのもコイツが初めてだ。
極限まで神経が磨り減る試合では時間がスローに感じると聞くが、体験してみると疲労が凄まじい。
……だが、体力や精神力の消耗と引き換えに、勝機を見出だせた。
(身体能力だけなら……俺の方が僅かに上回ってるかもしれん)
先の撃ち合いの中で、最初にきた一撃を避けることが出来た。
それはつまり、まだ相手の攻撃は追い付ける速度ということだ。
だから……もしかしたら、だが。
勝つ見込みはある。
──俺が『全力』を出せば。
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