945人が本棚に入れています
本棚に追加
渾身の力を右腕に込める。
それを一気に……セブンスターの鳩尾に叩き込むっっ!!
「ふんっっ!!!」
「ッッがっ……!!」
ギリギリと、骨が悲鳴を上げた。
右腕が壁にぶつかる感触、それと同時に聞こえてきた短い声。
……ただ、感触が弱い。
右腕が殆ど前に進まない。
簡単な話だ。
『ガードされている』。
タイミングでは確実に俺が勝っていたが、セブンスターは前傾から無理矢理ガードの態勢に立て直し防いできやがった。
骨の軋む音が聞こえてはきたが、多分折れていない。
鈍痛を与えた程度だろう。
攻撃がまるで届かない。
撃ち込む前に止められる。
これだけの力を込めても……?
(っ……いや! まだだ!!)
ハッ! 関係無い!
無理矢理止められたのなら、俺も無理矢理『止めない』!
俺の全開の身体能力が超えられるわけが、無い!!
「ッッ……!!?」
ほんの少し、右腕が前に動いた。
ガードされたのなら、ガードごと吹っ飛ばせばいい。
壁にぶち当たって進めないなら、そんな壁ぶっ壊してしまえ。
限界まで踏ん張れ。
限界まで腹に力を溜めろ。
限界まで拳を握り締めろ。
限界まで歯を喰いしばれ。
限界まで血を駆け巡らせろ。
目の前の敵を……砕くまで!!!
「アアアアアアアッッ!!!!」
自分でも経験したことが無い程に力を圧縮させた一撃は──強固なガードを貫通し、セブンスターの体を宙に浮かせ、背中を堅い壁に激突させるまでに至った。
最初のコメントを投稿しよう!