『鬼神』と『金龍』

12/20
前へ
/714ページ
次へ
この闘いが始まってから、何度も脳裏を掠めた懸念。 俺だけではなく、セブンスターもそれを考えていたに違い無い。 『能力』 俺達のようなイレギュラーだけが持っている、法則無視の必殺技。 能力如何によっては、1人だけで戦局を引っくり返すことも、また九十九のように他者の思考に干渉することも可能だ。 (チッ……やっぱり使う気か) ただ……願わくは、能力を使った闘いはしたくなかった。 そもそもして、この能力。 まず第一に法則性が解らない。 解り易く説明するなら、主人公の得意技が補助魔法だったり、逆にラスボスの必殺技が不思議な踊りだったり……お前それマジかよと言いたくなるような能力を備えている場合が多々ある。 つまり、目の前のセブンスターが肉弾戦を得意としてるから能力も直接戦闘タイプだ、という等式は成り立たないわけだ。 …………そして、もう1つ。 これが最大の難点と言える。 能力者同士の闘いに於いて、俺は圧倒的なハンデを背負っている。 俺は能力を『使えない』。 「遠慮すんなよ、金髪。 お前も能力を使っていいぜ」 「…………当然」 使っていいって言われても、俺は使わないし使えないし。 だが、悟られてはいけない。 俺が能力を使えないと知ったら、コイツは嵩に掛かったように攻撃の手を増してくるだろう。 出来ることなら、能力を使われる前に一撃で──
/714ページ

最初のコメントを投稿しよう!

945人が本棚に入れています
本棚に追加