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「ッッっっ……!!!」
身を抉られるような激痛、再び。
顔面から壁に思いっきり衝突したため、叫び声も上げられず、呼吸すら儘ならない。
額が、目が、鼻が、口が、首が、蹴られた背中が。
あらゆる箇所が……痛い。
血の味が口の中に充満している。
額や鼻からも血が流れているのが朦朧とした意識の中でも、容易に把握出来た。
多分、ぶつかった壁には俺の血がベッタリと付着しているだろう。
「何を……しっ……!?」
『何をした』
そう聞きたかったのだが、言葉を紡ぐことすら今の俺には難しい。
口は震え、手足もガクガクだ。
たった1人の暴力にここまで追い込まれるなんて、この世界に来てからは勿論、今までの人生の中で初めての体験だった。
だから……尚更知りたい。
何故俺が倒されているのか。
奴は何を仕掛けたのか。
俺と奴の間に立ちはだかっているのは、果たして何なのか。
「『授かりし一秒の寵愛[ワンブレス・ラバーズ]』
それが、俺の能力の名称だ」
セブンスターが歩み寄る足音と、その言葉が鼓膜に響いた。
顔を上げようとするが、それより先に服を掴まれ、身体を無理矢理起こされた。
と言うより、持ち上げられた。
「まぁ簡単に言うと……だっ!」
「ッッ……がっ……!!」
そして、腹を殴られた。
血が口から洩れる……と同時に、また腹に1発。
少ししてから、更に1発。
血を垂れ流し、必死に苦痛を堪え続ける中、奴は語り始めた。
「『1秒間の空白を作り出す』、そんな能力だ」
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