『鬼神』と『金龍』

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「ッッ、ぁぁァ……!!」 10本の太い指が、容赦無く俺の首を締め上げてくる。 爪が肉に食い込む感触、そこから赤い雫が流れる感触。 首を掴まれたまま身体を無理矢理起こされ、次第に首を締め上げて強さが増していく。 抵抗する力など、もう無い。 手を出すことも踏ん張ることも、何かを喋ることも。 何も、なにも、ナニモカモ。 ついに、両足が地から離れ、俺の身体は宙に浮いた。 「ぁぁ……が……!!」 「痛いか? 苦しいか? 安心しろ、もう『終わり』だ」 途端に、首を締める強さが急激に跳ね上がった。 「っっッッ!!!?」 ギリギリと骨が悲鳴を上げる。 首から上と下とが分離してしまいそうな、筆舌に尽くし難い激痛。 コイツ……『折る』気だ。 (俺……死ぬのか……) 消えていく。 感覚が、思想が、感情が、命が。 俺の中にあったあらゆるモノが、ゆっくりと遠ざかっていく。 「じゃあな、金髪」 きっと、これは『罰』なんだ。 母さんを守れなかった、弱い俺。 父さんを『殺した』、醜い俺。 にも関わらず、未だ異世界で生き永らえている俺に、来るべくして訪れた当然の罰なんだ。 あぁ…………もう、いいか。 痛みも苦しみも、もう飽きた。 受け入れよう、この罰を。 望めるなら……最後にもう一度、母さんに会いたかった。 (ごめんなさい、母さ────) ────ゴキッッ
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