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俺が住んでいた東京は、夜なんてお構い無しに明るくて騒がしい、それはもう賑やかな都会だった。
数分歩いたらコンビニや自販機が幾つも目に入る、そんな街。
そこは、どんな時でも光が消えることなど有り得なかった。
だから、この世界は好きだ。
瞳を焦がすような明るさも無い、耳に障る鬱陶しい喧騒も無い。
質素だけど、それでいて幻想的なこの世界が好きだ。
何より、ハジメさんに会えたし!(※本音)
(ふぅ……夜は涼しいな)
9月の頭、夜風が心地好く感じる丁度良い季節だ。
暑くもなく寒くもなく、体感的に最も苦に感じない。
ちなみに、何故時刻的には0時を回っているこの深夜に俺が1人で散歩しているのかと言うと、ただ単に寝付けないから気晴らしにと夜風に当たっていただけだ。
別にアレだからな。
『深夜に1人で星でも眺めながら黄昏てたら格好良いんじゃね?』とか考えてないからな。
うん、全く考えてないない。
いや、さっきから誰に何を言い訳してんだ俺は。
「ふぁぁ~……ったりぃなぁ」
もう結構な時間散歩したな。
時間が時間だし、欠伸を噛み殺すのも難しいもんだ。
そろそろ寝てもいいっていうか、もう寝たいんだけどなぁ……
何が『かったるい』かって?
「……さっさと出てこいよ。
いつまでコソコソ隠れてんだ」
さっきから陰でコソコソ俺を監視してる奴がいるんだから、そりゃダルくも感じるだろ。
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