狗猫の大冒険

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私が1人で勝手に舞い上がったり落ち込んだりしていると、何とも例えがたい憐れみを含めた表情の辰本君がこちらを見ていた。 やだそんな……視姦だなんて(ry 「見られるより見る方が好きだ」 「知らんしどうでもいいわ。 お前、護身用の武器とかは持って……なさそうじゃな」 「見た目で人を判断するなかれと学校で習わなかったのかね、君」 「イライラさせるのぉお前……。 じゃあ何か持っとるんか?」 「筆記用具と携帯電話と充電器とハンドタオルと単3電池」 「…………」 「…………」 あぁ辰本君……分かるよ。 どうせ今なにコイツ使えねぇとか考えてるんだろうな。 そうですよただのオタクですよ。 でもね、よく考えてみてよ!? 私は女子高生ですよ!? 生まれも育ちも日本ですよ!? 通学途中の女子高生の鞄の中身にどれだけの期待値があると!? 『武器持ってる?』って言われて『スタンガンなら持ってるよ♪』とか言いながら笑顔でスタンガン見せ付ける女子高生なんか日本にいると思う!? 刃物持って『ヒャッハー!』とか言ってると思う!? そんな奴と友達になりたい!? つまり、つまりだ。 私が武器を持っていないのは至極当然の事実なのだと、読者諸君と辰本君に理解していただきたいと私は思っている。 ──とか考えていると、辰本君は木陰に置いてあった少し大きめのリュックを持ってきて、ごそごそ中身を物色し始めた。 よく見えないけど、色々と入ってそうだなぁ。 やっぱり服とか食べ物とかかな? 旅の必需品だしね、そういうの。 「ほら、これ持っとけ」 「え……って、わぁっ!?」 すると突然、辰本君は『ソレ』を私に放り投げてきた。
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