走れユキト

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「ッ……クソガキがぁ!!」 俺の挑発に引っ掛かった田口が、右腕を振りかぶる構えを取った。 いや、あんな挑発真に受けるか? どんだけ短気なんだお前。 今時のヤンキーでもあれくらいの挑発は聞き流すぞ。 まぁ、それはどうでもいいや。 空気がピリピリしてきた。 多分、あと数秒もせずにアイツは踏み込んでくる。 間合いは大体2メートル半、1歩踏み込まれれば簡単に射程距離に捉えられるだろう。 体格差から見ても、1発喰らえば当たり所次第ではアウト。 気を引き締めていかないとな…… (…………来るっ!!) それは、確信にも似た直感。 相手の性格を考慮した上で、多分このタイミングで踏み込むだろうという、何の根拠も無い予測。 しかし……幸か不幸か、不確かな予測は見事に適中した。 田口の脚が、前に動いた。 構えていた右腕を引き、打ち込む態勢に入っている。 狙い所は多分、俺の心臓辺り。 ここまでは予測通り……予測通りなんだが、これは…… それは、予測以上に速かった。 「うぉっ……!?」 「カハッ! 貰ったぁ!!」 これは驚いた。 結構速いじゃねぇか、田口。 完全にタイミングを狂わされた。 この踏み込みとタイミング、まず間違い無く避けられないだろう。 『一般人なら』、だが。 『暴れ馬の豪脚[ランページ・レッグ]』────発動。
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