狗猫は全ての結末を導く

走れユキト

説明しよう！

俺が使った『能力』とは！？

『暴れ馬の豪脚[ﾗﾝﾍﾟｰｼﾞ･ﾚｯｸﾞ]』

それが俺の能力の名称だ。

ぶっちゃけて種明かしするなら、この能力は身体機能が上昇したり特異体質が発現したり、みたいなファンタジーな類いではない。

この能力の根源は、たった１つに尽きる。

『如何なる時と場合でも、１歩でトップスピードに達する』

ただ、この１つだけだ。

要するに、一般人がスタートからトップスピードに乗るまでに経過するタイムを、俺はたった１歩で帳消しにすることが出来る。

例え４０度の熱が出ていようが、足が折れていようが、後ろ向きで走っていようが。
たった１度地を蹴りさえすれば、それだけで瞬時にトップスピードを叩き出せる。

【常時トップスピード状態】

これが、俺の能力の正体だ。

最初のうちはセーブが利かなくて何度もコケたさ。
ちゃんとバランスが取れるようになるまで２ヶ月掛かった。

ちなみにこの能力を駆使すれば、バック走でボルトと並走することだって出来る。

地味だけど凄いんだぞ、これ。

まぁ、つまりだ。

田口には俺が消えたように見えただろうが、そんなことはない。
ただ俺の速すぎる初動を、田口が追い切れなかっただけのこと。

３メートルの間合いと言ったが、この能力の前で３メートルなんて有って無いようなものだ。
何故なら、そのくらいの間合いは『コンマ２秒』もあれば詰め寄ることくらい容易い。

だから、田口は俺には勝てない。
俺を殴ることなんて出来ない。

俺より遅い奴が、常に『最速』の俺を捉えるなんて不可能だ。