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何なんだよお前!
何なんだってばよお前!
そこはアレじゃん!
俺達が味方ってことは隠しといて有利に事を運ぶ流れじゃん!
何いきなりバラしてんの!?
何でこっちに手振ってんの!?
お前モノホンの馬鹿か!?
あー……ほら見ろ、お前のせいで田口が俺とお前の両方共に警戒心抱いちまってるじゃねぇか。
どうしたらいいんだよ俺。
そんな俺の落胆など介することも無く、犬飼(+若葉)はグングンとこっちに近付いて来ている。
頼む、こっち来んな。
お前が来るとロクな目に遭わん。
これから訪れるであろうカオスな展開に、内心げんなりする俺。
──しかし、その心配は意外にも良い意味で裏切られる。
「若葉、ちょっと下りて!」
「えっ? ちょ……あふっ」
まだ30メートル程離れた場所にいる犬飼が、その言葉の後すぐに背負っていた若葉を下ろしたではないか。
「いてっ!」という声が聞こえたのは気のせいだと思う。
犬飼は何をする気なのだろう……と思いながら見ていると。
明らかに、犬飼の走るスピードが目に見えて加速した。
(アイツ…………そうかっ!)
一瞬何をしたいのか戸惑ったが、すぐに犬飼の意図が理解出来た。
アイツ、気付いていやがる。
俺と田口が敵同士であることを、雰囲気だけで察している。
だから、アイツは若葉を下ろして速度を上げた。
俺に加勢するために、だ。
機転が利くのか利かないのか……だが、これは絶好のチャンス!
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