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「お前のせいで半日歩いても森を抜けられんかったぞ」
「本当にすまないと思っている」
その日の晩。
当初の予定では今頃とっくに森を抜けて、川沿いの安全なところにテントを張れていたらしい。
それがこの様ですわ。
私が足を挫いて匍匐前進くらいの低速で進んでいたのが原因です。
なんか私もう完璧お荷物ッスね。
『あーい、とぅいまてぇーん☆』とか、このタイミングでふざけて言った日には確実に息の根を止められそうな気がするので、今回は静かにしておくとしよう。
「──これでよし、と。
足首は固定したから、歩き方さえ気を付ければ明明後日には治る」
「おぉ……ありがとう。
手間掛けさせてゴメンね?」
「…………」
辰本君が四番隊に入れんじゃね?ってくらい慣れた手付きで足首を固定してくれたので、それに対しては真面目に感謝した私。
ついでに謝罪もした私。
しかし、辰本君は何故か浮かない表情でこちらを見ている。
フッ……そうか私に惚れ(ry
「お前……ちゃんと謝ったりとか出来るんじゃな……」
出来るに決まってんだろ(笑)
どうやら私は辰本君に挨拶の基本すら学んでいないただの馬鹿だと思われていたようです。
これはひどい、さすがに傷付く。
しかも『馬鹿』に関しては微塵も否定出来ないから更に凹む。
「ま……とりあえず今日はここで野宿するしかないな。
大してモンスターも生息してなさそうじゃから、1日2日くらいは問題無いじゃろ」
「イエス、マイロード」
私が某執事風に深々と頭を下げた頃には、辰本君はテントに入って寝転がっていた。
……うん、いいスルーだ。
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