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テントに入って、寝息1つ立てず静かに目を瞑っている辰本君。
その辰本君を至近距離からガン見している私。
怪しすぎて自分で吹き出しそう。
しかし……堪えるんだ狗猫っ!!
もう少しだけ……このイケメンの寝顔を拝みたいっ!!
そのためなら、私は自分の命すら賭けてくれようっっ!!
哀しすぎるぜ……私の感性。
「…………ん……」
私が勝手に舞い上がっては勝手に落ち込んだり鬱陶しさこの上無い行動をしていると、小さな寝言が辰本君の口から洩れた。
エロい、エロいよ辰本君。
何か夢でも見ているのだろうか、気になった私は恐る恐る辰本君の口元に耳を近付けてみた。
何か新手のプレイみた(ry
「母さん……ごめん……」
(…………)
私は辰本君から少し離れた位置でテントに寝転がった。
辰本君……マザコンだったのか。
すみません、失言でした。
そうだよ、2年以上も旅をしてるってことは、辰本君はもう長い間親とも友達とも会ってないんだ。
そりゃ淋くないわけないよね……会いたいに決まってるよ……
私だってそうだ。
親や親戚と仲良しではない。
友達だって殆どいなかった。
がむしゃらになれるような趣味も無ければ、喉を掻きむしるくらい欲した夢も無かった。
未練なんて、大して無い。
それでも、やっぱり淋しいんだ。
もう元の世界には戻れない、その冷酷な現実に呑み込まれながら、私はふと思い浮かべた。
こんなシリアスで大丈夫か?
「大丈夫だ、問題無い」
私は爆睡した。
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