龍の翼

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  『────龍って聞いたら、空を飛んでてめっちゃカッコいい生物ってイメージがあるやろ?』 『うん、あるある!』 『でもな、大昔おった恐竜の中で本当に空を飛べたんは、ほんっの一握りだけやってん』 『えー! 何でじゃ?』 『考えたら簡単な話や、恐竜には翼が無かってん。 翼が無いと飛ばれへんやろ?』 『へー、そうなん?』 『せやから、アタシはリュウって名前を付けたかってん。 いつか自分だけの翼を見付けて、人生を羽ばたいてほしい! そんな願いを込めた名前や』 『自分だけの翼……?』 『そ、元から翼が無いんやったら翼の役割を果たしてくれる人を、互いを大切に出来るパートナーを見付けたらえぇ。 そしたら、世界が見違えるくらい輝いて見えると思うよ?』 『んー……よぉ分からん』 『アッハハ、まぁ子供の間はまだ分からんくて構わへんよ。 そうやなぁ……リュウに好きな子とかが出来たら、その頃には多分意味が解ってるんちゃうかな?』 「ふんふ~んふふ~ん♪」 「テンション高いな、お前」 「そりゃあ、こうやって辰本君とまた旅が出来るんだもん! こんなに嬉しいこと無いよ!」 「……ハハッ、しょうもなっ」 「あ! 今笑った?」 「笑っとらんわ」 「えー嘘だぁ! 笑ってたじゃんか!」 「笑っとらん」 「笑ってたし!」 「しつこい」 「うーそーだー!」 「喧しい、黙って歩け」 『好きな子が出来たら』……か。 …………まさかな。
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