狗猫といっしょ

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「うぅ……思ったより遠い……」 「あと30分もしたら着く」 いやいやいや! 川が見えてからかれこれ1時間は歩いて更に30分って! 合計90分って! 5400秒って! どこが『もうすぐ』だよ! あっ、ちなみに山登りをする人は『頂上まで2km』とかの看板には騙されないようにね。 あれはあくまでも距離を掲示しているだけで、実際は単純計算よりずっと時間かかるから。 あと水分は多目に用意すること。 狗猫との約束だよ☆ まぁぶっちゃけ1時間くらいじゃそこまで疲れないけどね。 辰本君もまだまだ余裕って感じでスタスタ歩いてるし。 「ちょっとー辰本君やーい! 狗猫ちゃんは腹ペコですよー!」 スタスタ歩いていく辰本君。 そう、スルーである。 …………(´д`) 「へっ、いいさいいさ! どうせ私は他人から蔑まれながら生きるのが相応し──」 「おっ……見えてきた」 「な ん で す と !?」 「……変わり身早いのぉ」 長かった……本当に長かったよ! ある時は少ない食料を分け合い、ある時は互いに肩を貸して歩き、次第に芽生えていく男女の友情と恋心の狭間に在る感情に苦悩する日々を重ね、血と汗と涙の滲んだ苦節3ヶ月の長旅に終止符が…… (※言うまでも無く妄想です) 「辰本君……私、この旅を無事に終えたら……結婚するんだ……」 「誰とするんじゃ、誰と。 てかあと10分ってとこまで来て死亡フラグを立てんな」 「冷めた発言は禁止! よーしダッシュで行くよ!」 テンション上がりまくりの私を、後ろから見ている辰本君は非常に面倒そうな表情だった。
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