狗猫のパーフェクトいせかい教室

9/17

945人が本棚に入れています
本棚に追加
/714ページ
九十九さんは、目の前に置かれた湯飲みをクイッと傾けた後、再び口を開いた。 『熱っ!?』みたいなベタな事はノーサンキューの方向で。 「俺はこの世界に来てから、一切アイツには力を貸さんと決めた。 いや……正確には『力を貸すことを諦めた』って感じかな?」 相変わらず、寂しそうな微笑みを携えながら語る九十九さん。 この人は……本当に心の奥底から辰本君を心配してるんだな。 とても優しい人なんだ。 「アイツは凄い、俺が居らんでも1人で何でも出来る。 俺は……無理やった。 本当に本当の……究極の意味で、俺にはアイツを助けられへん」 ──しかし、どうだろう。 次に顔を上げた九十九さんの表情には……最初に見せた悪戯っぽいニヤつきが貼り付いていた。 「せやから、俺は知恵を貸す側に回ろうって思った。 リュウと……いつか現れると信じ続けた、アイツの本当の理解者に成り得る誰かに、俺だけは絶対に味方であり続けようってね……」 「だから──」 その言葉を放つと同時に握られた私の両手は、僅かに震えていた。 次に降り掛かってくる言葉は……何となく分かる気がする。 「君を、頼っていいかな?」 「い い で す と も」 私は勢い良く立ち上がり、九十九さん目掛けてビシッと人差し指を突き刺した。 (※当たり前ですが本当に突き刺したわけではありません) 「やりますよ、九十九さん!! 主人公に出来ないことは無いって私が証明しちゃいますから!!」 犬飼嶺子、いざ始動だぜ!!
/714ページ

最初のコメントを投稿しよう!

945人が本棚に入れています
本棚に追加