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九十九さんは、目の前に置かれた湯飲みをクイッと傾けた後、再び口を開いた。
『熱っ!?』みたいなベタな事はノーサンキューの方向で。
「俺はこの世界に来てから、一切アイツには力を貸さんと決めた。
いや……正確には『力を貸すことを諦めた』って感じかな?」
相変わらず、寂しそうな微笑みを携えながら語る九十九さん。
この人は……本当に心の奥底から辰本君を心配してるんだな。
とても優しい人なんだ。
「アイツは凄い、俺が居らんでも1人で何でも出来る。
俺は……無理やった。
本当に本当の……究極の意味で、俺にはアイツを助けられへん」
──しかし、どうだろう。
次に顔を上げた九十九さんの表情には……最初に見せた悪戯っぽいニヤつきが貼り付いていた。
「せやから、俺は知恵を貸す側に回ろうって思った。
リュウと……いつか現れると信じ続けた、アイツの本当の理解者に成り得る誰かに、俺だけは絶対に味方であり続けようってね……」
「だから──」
その言葉を放つと同時に握られた私の両手は、僅かに震えていた。
次に降り掛かってくる言葉は……何となく分かる気がする。
「君を、頼っていいかな?」
「い い で す と も」
私は勢い良く立ち上がり、九十九さん目掛けてビシッと人差し指を突き刺した。
(※当たり前ですが本当に突き刺したわけではありません)
「やりますよ、九十九さん!!
主人公に出来ないことは無いって私が証明しちゃいますから!!」
犬飼嶺子、いざ始動だぜ!!
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