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何も無い空間、白いのか黒いのかすらも分からない、でも辺りには点も線も存在しない空間。
そんな場所に今、私は在る。
まず確実に自宅ではない。
こんな無印を極めに極め尽くしたような装飾を施した覚えが無い。
…………ん?
なんか、つい最近にも似たような夢を見た気がする。
似たようなって言うか、感想まで完全に一致している気が……
「もしもーしっ」
何となく呼び掛けてみた。
誰に?と聞かれたら、それはもう心の中にいるイケメンにですよと答えざるを得ない。
夢だし頑張れば会えるんじゃね?みたいなノリです、はい。
とは思うが、そもそもしてここは本当に夢の中なのか?
ここまでハッキリと意識を保っていられるのは初めてだから、正直かなり眉唾物だ。
某忍者漫画の幻術にかかってたりしないよね?
「うーん……何だろ、ここ?」
1人小首を傾げる私。
「ここは、君の夢の中だよ」
────突如、背後から聞こえてきた男性の声。
この声……絶対イケメンだ!
そう判断した私は、マルマインもビックリの素早さで振り向いた。
「ただ、僕の力を使って少しだけ現実に近付けているけどね」
そこにいたのは、もう紛れも無いイケメンだった。
私の頭の中のイケメン。
おっと、一瞬あの名ドラマっぽい感じになってしまった。
上から下まで黒一色。
髪も瞳も服も、全て黒一色。
まぁさすがに肌も真っ黒みたいなことはないけど。
てかそうだったらドン引きする。
フードに隠れて顔や表情はうまく見えないけど、歳は多分20半ばくらいかな。
…………て言うか、なんかこの人どっかで見た覚えが……?
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