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「なっ……山本ォ!?」
「大丈夫か、山本!?」
まさか味方がこんな小柄な乙女に負けるなんて思ってもいなかったのだろう、マッチョ共は声を大にして慌てている。
このマッチョ山本って名前だったのかよ(笑)
もっと捻った名前あるだろ(笑)
「あーゴメン、思いっきり脳ミソ揺さぶったから、しばらく意識も戻らないよ山本さんは。
残念でしたーベロベロバー」
「くっ……このガキがぁ!!」
フッ、短気な男よのぅ……
そんなんじゃ伝言板を荒らされてマキに退会させられちゃうぜ?
私の挑発にまんまと引っ掛かったマッチョの1人が、腕を振り回しながら迫って来る。
そして……私は『確信した』。
──遅い、遅すぎる。
目の前の男の動きが、笑える程にスローに感じる。
さっきの蹴りの感触、そして今のこの言葉に表し難い感覚。
九十九さんの言葉は本当だった。
脚力、腕力、体力、反応、更には動体視力まで……ありとあらゆる身体能力が跳ね上がっている。
「危なっ……くないね♪」
マッチョの右ストレートを敢えてギリギリで避け、マッチョの顎にカウンターで裏拳を入れた。
突然の衝撃にマッチョの全身から力みが抜け落ち、両腕をダランと重力に従わせている。
「その隙……いただきぃ!!」
「なっ……おごぼげぇ!!?」
がら空きになった頭部に真空飛び膝蹴り(一度使ってみたかった)を喰らわせると、マッチョは気持ち悪い断末魔を上げて倒れた。
何だよ『おごぼげ』って。
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