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小屋を出て辺りを見渡してみるが……人の影も見当たらない。
光も殆ど無く、時間帯に相応しい暗黒に空が覆われている。
想像と違うなぁ……もっと悲鳴や爆音が鳴り響いてて、モヒカンのオッサンが火炎放射器を振り回してるイメージだったんだけど。
(※某世紀末漫画ではありません)
まさかあのマッチョ三連星、本当に気紛れでギルドに喧嘩を売りに来ただけだったのか?
うーん……違うような気が──
「おらぁ!! 金品出せぇ!!」
「とっとと出せコラァ!!」
「ハッ……人の声!? クチャクチャ」
小屋の前で立ち止まってあれこれ考えていると、少し離れた場所で野太い怒鳴り声が響いた。
なんかもう台詞からモブキャラ臭しかしないけど、絡まれてる人が可哀想なので助けに行こう。
1分くらい村を適当に走り回っていると、思ったよりもかなり早くその現場を発見した。
細身ながらも背の高いヤクザ風のオッサン2人が、私と同い年くらいの少年に怒鳴っている。
見たところヤクザ風のオッサンはマッチョ三連星の仲間で、少年は普通の村人といったところか。
これは見逃せん……狗猫ちゃんが成敗してくれる!
「クチャクチャクチャクチャ!!
(※そこまでだ、ヤクザ顔!!)」
干し肉が飲み込めねぇorz
「あぁん!? 何だガキ!!」
「クチャクチャクチャクチャクチャクチャクチャクチャクチャ!?
(※無抵抗の少年を2人がかりで脅す悪人、狗猫ちゃんが月に代わってお仕置きしちゃうぜ!?)」
「いやクチャクチャうるせぇよ!
口の中のモン飲み込めよ!」
私だって飲み込みたいよ!
何この粘着質な干し肉!?
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