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「残念だが……ガールにワタシを倒すことなど不可能だぁ」
軽口を叩きながらも、一歩一歩と間合いを詰めるテリーマン。
「ふーん、いかにも雑魚キャラが言いそうなセリフだね、それも。
私のフラグ回収率ナメんなよ?」
私もその軽口に返事をしながら、バレないように摺り足で間合いを調節していく。
2人分の声と足音が、ジリジリとこの場に鳴り響いている。
そしてその二種類の音は、およそ1メートル半の間合いが作られた時点で、ピタリと止んだ。
同時に────私は悟った。
このオッサン、アホだ。
「不用意に人のリーチに入るとかマジアリエッティィィィ!!!」
自分でもビックリするくらい残念すぎる奇声を上げながら、速攻で上段蹴りを繰り出した。
油断したなテリーマン!
どうせ私の小柄な体型とかを見て『この間合いなら大丈夫だ』って勝手に決め付けたんだろ?
甘い、ガトーショコラより甘い。
私の今の身体能力なら一歩で充分踏み込めちゃうのさ!
さぁこれで気絶してろぃ!
────バシィッ!!
「…………あれ?」
嘘…………と、止められたぁ!?
今のタイミングとスピードで繰り出した渾身の蹴りが、アッサリと左腕でガードされている。
身体能力の上がった私の蹴りを、こんなにも簡単に……!?
「ハッハァ、甘いねぇガール。
そんな見え見えの蹴りなど、速攻とは呼べないなぁ?」
ヤバい……このテリーマン、あの大口は伊達じゃない……!
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