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無表情(キレ気味)でテリーマンに一歩ずつ近付いていく辰本君。
それに対し、余裕と自信の溢れた佇まいで待っているテリーマン。
「九十九一……気は確かか?
ただ体躯が立派なだけのボーイがこのワタシとバトル?
ハッハァ、つまらない冗談だぁ」
既にロッドを構えることも止め、九十九さんと辰本君を交互に見て嘲笑っている。
これはキモい。
でもまぁ、それは仕方のないことなのかもしれない。
ギルドの支部長……幹部クラスの人間である九十九さんと、ただの旅人兼傭兵である辰本君。
どちらの方が厄介か判断するのは至極簡単なことだろう。
ただ……だからこそ、この展開は非常に興味が湧く。
私は知っている。
九十九さんも凄いけど、それにも劣らないくらい辰本君も切れ者で凄い人なんだ。
それは九十九さんも認めている。
九十九さんが辰本君を推したことには、根拠がある筈だ。
『勝てる』という根拠が。
「(あの……九十九さん。
辰本君って、強いんですか?)」
いつの間にか私の横まで下がっていた九十九さんにそう尋ねると、やはり返ってきたのはお馴染みの悪戯な微笑みだった。
「(喧嘩の強さは文句無し。
実戦は……どうやろうねぇ?
ま、大人しく見てたらえぇよ)」
確証無いのかよ!
駄目じゃんそれ!
『喧嘩と実戦は別物』ってプロの格闘家も言ってるのに!
しかし、時既にお寿司。
……違った、時既に遅し。
テリーマンと辰本君の間合いは、僅か2メートルという距離にまで近付いていた。
「ハッハァ……何とも野蛮そうな眼をしているなぁ、ボーイ?」
「…………」
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