945人が本棚に入れています
本棚に追加
「…………辰本君、強い……」
ポツリと、そう呟いていた。
いやいや、洒落にならんでしょ。
だってあのテリーマン、まぁ見るからに噛ませ犬キャラっぽかったけど、決して弱くはなかったよ?
それを一撃って!
何あのデタラメなパンチ力!
グラップラー辰本君なの!?
「……な? 心配無かったやろ?
身体能力でリュウの右に出る奴は多分どこ探してもおらんよ」
そう言った九十九さんは、とても満足気に笑っている。
まぁ確かにあのパンチ力を知ってたら、何の気兼ねも無く安心して闘わせられるだろうけど。
まず負けないだろうし。
…………あ、そう言えば。
「た、辰本君!
さっき左の脇腹刺されたよね!?
ほら傷見せて手当てするから!
消毒するもの無いから、代わりに私の唾液でもいいよね!?」
「よくないわ!
離れろ鬱陶しいな!」
畜生、どさくさ紛れで上着を脱がせる作戦も失敗したか!
このシャイボーイめっ!
「いや、でも本当に手当てはしないと化膿とかするんじゃ……?」
「大した傷ちゃう、刃の先が少し刺さっただけじゃ。
これなら血もすぐに止まる」
(´ε`)ツマンネー
まぁいっか、五体満足ならそれで万々歳ってわけで。
「リュウ、ご苦労さーん。
で、早速で悪いんやけどさぁ……『アレ』どうする?」
ニヤニヤ顔の九十九さんが指差す先には……幹部が倒されて手段を失ったスモーカーズの下っ端達がオロオロとしている。
えっ……何その笑顔、怖い。
それを見た辰本君は、顔色を全く変えないまま、言った。
「駆逐する」
「ハハッ、オッケー」
この2人は敵に回してはいけない……私は深く心に刻んだ。
最初のコメントを投稿しよう!