1話…惚れました!

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彼女は家の近くまで付いて来た。 しかし、後僅かという距離で、「今夜は出歩かないでください」と言い残し、何処かへ消えてしまった。 まるで嵐のような少女だった。 誰でもなく、ただ一人。 俺は小さく溜め息を吐いた。 自宅と言っても誰かがいるわけではない。 俺は一人暮らしだ。 高校生での一人暮らしというのはまるで夢のような話だが、実際は孤独を思い知らされるかのごとく寂しさに苛まれる。 俺はそう感じる。 だから、騒がしいのが苦手だ。 家に帰ると現実に引き戻されたような気がする。 俺はベッドに倒れ込んだ。 妙に瞼が重い。 「あ、買い…物…行か…ない…と……」 意識は徐々に落ちていく。 一瞬、ほんの一瞬。 あの子の顔を思い出した。 あんなに楽しそうに笑っていた。 あんなに悲しそうに笑っていた。 その顔を思い出す。 何処かで見たことがある気がする。 彼女と同じ表情。 同じ空気。 けど、思い出せない。 考えるのは止めよう。 きっと疲れているんだ。 そうに違いない。 俺は瞼を閉じると同時に意識を手放した。
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