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「……………」
変な夢だった。
未だに鮮明に覚えているのはきっと昨日の出来事だったからだろう。
それにしても身体がだるい。
「あ、晩飯……」
外はもう暗く、月が昇り、家の時計の針は八時を差していた。
今日の買出しはまだ……
仕方なく、身体を起こして制服を着替えた。
私服といっても特にシャレているわけでもなく、平凡、一般的、この上なく普通の服だ。
いや、普通の基準がいまいち良く分からないが、普通だ。
決して部屋着などではない。
そして上着を羽織って、鍵と財布を手に取った。
このとき俺は、運が悪いことに、頭が悪いことに、おめでたいことに、後悔するほど、忘れていた。
彼女、鬼百合楓が分かれる際に言い残したあの言葉の意味も、理由も、全く見当が付かなかった。
その危険性さえも、おめでたいほど楽観的だった。
だから、その後、俺は酷く後悔することになる。
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