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「立派な理由ではありませんか。私は君に会いたくて会いたくて、それはもう心臓が左右に分裂してしまいそうなほどの苦しい思いをして来てしまったのだから仕方ありません」
「心臓はそんな簡単に分裂しないし、それが法を犯して良い理由にはならない!」
「そんなっ!?私が左右に分裂しても良いというのですか!?」
「被害がさらに大きくなっているぞ!?いや、そんなことはどうでも良い。
お前は何で俺の居場所が分かった?というか、昨日会っただけの人に何故白昼堂々とストーカーまがいなことやっちゃっているわけ!?」
「どうでも良い!?」
「そこだけ拾うんじゃねぇえ!?」
何なんだこの女!?
話しがどんどん逸れていく!
それに俺はこの女と昨日の夕方頃に偶然出会い、軽い世間話を行っただけで、特に知り合いな訳ではない。
確かに彼女の服装は今日と同様、やたら目に付くコスプレチックな服装で、彼女という存在定義自体が印象的ではあった。
が、こうして顔見知り程度の相手に法を犯してまで会いに来るだろうか。
いいや、来るわけがない。
むしろ来て欲しくない。
それに彼女は見るからに俺と同じ歳で、世間で言う制服を多少間違った印象を受けるが着こなしているのだ。
学校に通っているのだろう。
しかし、現時点で此処にいるということは彼女は法を犯すだけでなく、自分の学校の校則までも犯していることになる。
そうまでして俺の所へ来た理由が会いたくなったからというのは認めらんない、認めたくはない。
ついでに付け加えておくが、俺は一言も彼女に自分の通っている高校を喋ったりしていない!
「君の学校のことなら、昨日君が着ていた制服と時間帯から推測し、少なくても終礼が三時ぐらいの高校から下校し、あの時間帯に私と出会う確率のある高校を割り出して、Googleで確認したところ、この学校に行き着きました」
「なんてハイレベルな思考力!?
ってかインターネット社会も考えモノだな!?」
探偵か!?
いや、もはや探偵になれると思う。
探偵というのが、どんな仕事で、仕事内容なのか良く知らないが、漫画の小学生探偵並みなことは出来ると思う。
これでは個人情報もだだ漏れだ。
「けど、そうまでして会いたくなったんです」
「は?」
彼女は胸に手を当てて、頬をうっすら染めていた。
そして柔らかく笑みを浮かべると俺を指差した。
「私、君に惚れました」
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