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「…!!!」 出窓の隅っこで浅い眠りについたらしかった。 …汗びっしょりかよ。 寝汗のせいで肌寒い。 着替えるかな…と着物に手を掛けた時、 トントン。 戸が音に続いて開いた。 「…大丈夫ですか?稔麿。」 低くて落ち着く声色がした。 久坂の心配性など今に始まった訳じゃない。 「んな、覗き込まなくても生きてるから。」 無表情で応えた。 「でもまたあの夢じゃ「五月蝿い。」 一睨みして俯く。 「はぁ‐分かりました。消えますから。ね?」 そう言って、戸を閉めて出ていく。 久坂は優しい人だ。
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