プロローグ

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「クソッタレが、ここまで強いとはっ……」 目の前の驚異に恐怖と絶望から足が動かない、こんな筈じゃなかった、自分の強さには自信があった、頼れる仲間もいる。 今まで何度も死線を潜り抜けてきた、負けるとは考えていなかった。 慢心……か、自業自得だが俺の我儘に付き合った仲間を巻き添えにしてしまった。 後悔という闇が俺を包み込み視界を暗くする。 地面が奴の振動で揺れている、ゆっくりと、確実に殺意の塊が近付いてきている。 意識を戻し気力で何とか立ち上がるも、膝が笑って剣を構えることもままならない、膝を抑えて立ち上がるのが精一杯だった、己の血でぬかるんだ手が剣を落としそうになるのを必死に堪える。 「すまねぇ皆……俺のせいで」 周囲の気温が一気に上昇した、奴の攻撃が来る、今度は避けられない。 「ちっくしょぉぉお!」
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