古代の秘宝

3/6
前へ
/57ページ
次へ
疑いの眼差しを向けつつも疑問をぶつける。 「でも宝を盗むってのはなぁ、お前そういうの嫌いじゃなかったか?トレジャー何とかっていうやつの心意気なんだろ?」 「トレジャーハンターだ! 良いんだよ、どうせ人じゃないんだし」 「人じゃない?」 「ああ、よく聞くだろ?光り物を集めるモンスターとか、それと似たようなもんじゃないか?」 「う~ん、聞いたことあったような…… でもそれってモンスターの習性で集めるんだろう?武器を集めるなんて有り得るのか?」 「細かいことは良いんだって、それにソイツはかなり強いって話だぞ」 強い、という言葉が出た途端ディックの目が変わった。 「何?それは楽しみだな、いつ出発するんだ?」 「いきなり行く気になったな、流石は戦闘馬鹿」 「ん?何か言ったか?」 「いや、何も…… それよりまだレミィとノーランには言ってないんだ」 「じゃあ早速知らせに行かないとな、二人は何処に?」 「買い出しに行ってるよ、そろそろ帰ってくる頃じゃないかな」 数分後レミィとノーランが帰ってきた。 「ヒールポーション買ってきましたよ」 買ってきたヒールポーションが詰まった鞄を持つ女性、レミィが言った。 癒しの魔法を使いこなし、腰まである青い髪に白い法衣を纏ったその姿は聖女を思わせる、大きな瞳の目尻は垂れ、鼻は小さいが美人である。 「安かったから沢山買ってきたよ」 レミィの隣に立つ女性、ノーランはレミィの持つ鞄の三倍はあろうかと思われる革の袋にヒールポーションの他にも沢山の荷物を詰めて肩に担いでいる。 背丈はキッドよりも低く恰幅のいいノーランは大地の民、ドワーフ族である。 ドワーフ族は温厚な性格で、体力や腕力が人間の数倍はあると言われているが、蒼く重厚な鎧を着込み、自分の体ほどもある袋を抱えて軽々と動き回る姿を見れば誰もが事実だと瞬時に理解するだろう。 「次の行き先が決まった」 ディックがすぐに本題を切り出した。
/57ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加