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話を聞き終えたレミィとノーランは気乗りしない表情をしていた。
「ん?どうしたんだ二人とも」
キッドが問い掛けると、レミィが静かに答える。
「ここは……止めた方が良いです」
「知ってるのかこの場所を、何故駄目なんだ?」
ディックが聞くとレミィの代わりにノーランが答えた。
「ここは火竜の山と呼ばれている場所だよ」
「何だって!?」
キッドが驚きの声を上げた。
「伝説のドラゴン族で、その中でも最強と言われているレッドドラゴンが棲むと言われています」
と、レミィが続けた。
「そんな……まさか」
モンスターがいるとは聞いていたが、それがまさかドラゴンだとは思いもしないキッドが驚くのも無理はなかった。
「な~に、大丈夫だって!
ドラゴン?面白そうじゃないか、相手にとって不足はないぜ!」
話を聞いて目が完全に戦闘モードになっているディックを慌ててキッドが止めにかかる。
「お、オイオイ、ちょっと待てって!ドラゴンだなんて話は聞いてないぞ!
俺が話を持ってきておいて悪いが、今回は止めておいた方が良さそうだ」
「そうですよ、危険すぎます」
レミィも加勢するがすっかりヤル気になっているディックには無意味だった。
「それに、シェリアはどうするんですか?いくらあの子でもこんな危険な場所に連れていけませんよ」
ディックとレミィの間には10歳になるシェリアという娘がいる、レミィとは反対に攻撃の魔法を自在に使いこなすことが出来る、10歳にして既に上級魔法を使いこなすシェリアは神童と呼ばれていた。
「でもなぁ、シェリアのあの性格じゃ絶対ついて行くって言うに決まってるよなぁ」
ディックは項垂れてどうしたものかと頭を悩ませた。
幼い頃から天才、神童と呼ばれ、持て囃されていたシェリアは自信過剰で高飛車な性格になっていった。
そうならないようにと、お前はまだまだ未熟だ、この程度のことも出来ないのか、などと叱責するものの、みるみる成長を遂げ課題をクリアしていくシェリアには効果がなかった。
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