古代の秘宝

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早速各々が戦いの準備を始める中、ディックとレミィはシェリアの説得の為、村外れの広場に向かった。 広場中央に背を向けて立つ少女、肩にかかった青い髪、内側に軽くウェーブのかかったそれが風に揺れている。 純白のドレスで着飾ったその姿から想像するのは、おしとやかな雰囲気ではなく、活発な娘であることを短い丈のドレスや両手のグローブ、革のブーツが現していた。 魔法を使う者は大概肌の露出は少なくするものだ、鍛えられていない身体を魔力で包まれた法衣の外に露出することが危険であることは言うまでもないし、そもそも法衣は全身を覆うように作られているものが殆どだ。 シェリアは動きづらいという理由だけで型破りのドレスアップをしていた。 ディックやレミィも一緒に旅している内は自分達が守ればいい、と思っているからそれを咎めたりはせず自由にさせていた。 実際戦いになると後方支援にまわるシェリアの身体には、傷一つ無かった。 魔力を高め精神を集中させているシェリアには二人が近付いていることに気付いていない。 「シェリア」 レミィが声をかける。 ゆっくりとした動作でシェリアが振り向いた、一目で母親似だと分かる綺麗な顔がこちらを捉える。 「あ、お母さん?お父さんも、どうしたの?」 「次の行き先が決まったのだけど、今回はシェリアちゃんお留守番していてくれる?」 「ちょっと危険な場所でな、いつもみたいに守りきれるかどうか分からないモンスターが棲み付いてるって話なんだ」 二人は正直に事情を話すと、あっさりした返答が返ってきた。 「分かった、待ってるわ」 意外な反応に驚きを隠せなかった。 「てっきり強引についてくるものだと思ってたけど、どうしたんだ?」 「ちょっと試してみたい魔法があるの、時間がかかりそうだし、丁度良かったから」 「お、そうか、それなら別にいいんだ」 呆気なく目的が達成した二人は宿屋に戻る。 「どうだった?説得出来たか」 キッドがディックに説得の成果を聞く。 「ああ、あっさり了解してくれたよ」 「そうか、それは良かったな、この村に居れば安心だ、モンスターが襲ってくることもないからな」 「そうだな」 「あまりシェリアちゃんを待たせるのも悪い、パパっと行ってサクッとお宝を頂いて帰ってこようか」 すぐに四人は火竜の山へと出発した。
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