花占‐コイウラナイ‐

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     「…泣いていい?」    隣に座る愛しい人、  突然俺に問い掛ける。    「……は?」    俺は訳が分からず  気の抜けた返事をする。    「お前、俺のこと嫌いなんでしょ?」    「な、何言ってんの?」    俺はそんなこと言った覚えはない。  もちろんそう思った覚えだってない。    深い溜息を落とす彼を見ると  手元には花びらのなくなった花、  足元にはその花の物らしき花びら。    「もしかして、花占い?」    まさかとは思いながら尋ねてみる。  なんたって俺達はもう高校3年生。  花占いを信じるような歳ではない。  ましてや実行するような歳でもない。    「……嫌いって」    彼は悲しそうな瞳でこちらを見る。  馬鹿だと思わないと言うと嘘になる。  それでも可愛いなどと思ってしまう。    「何、お前占いとか信じるの?」    「めちゃめちゃ信じます」    「…花占いまで信じちゃうの?」    「うん、お前絡みだから余計に」    「はい?」    「たかが花占いでも  こんな結果が出ると不安になる、  俺、お前のこと超大好きだもん」    何なんだろうこの生き物は。    よくまぁそんな恥ずかしいことを  真顔でぺらぺらと言えたもんだ。    「馬鹿じゃないの?」    照れ隠し。  平然と言ってみせようとしても  俺の顔は真っ赤になってしまう。    「俺のこと嫌い?」    その瞳をやめてくれ。  なんだかこっちまで悲しくなる。    「あ…」    まだ花びらが残っている。  小さな小さな花びらが。    「好き」    発した2文字の言葉と同時に  残された花びらをちぎる。    彼の顔から悲しみの色は消えた。    「俺も大好きーっ!」    無邪気に笑いながら  盛大に抱き着いて来る君、  さっきの表情なんか見る影もない。    花占い1つにここまで  振り回される俺の身にもなってくれ。    でも、  今回は許してあげようと思う。    君の笑顔が見れたから―    
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