仏頂面の君。

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     「くっそ~…」    頭を抱え屋上の柵にもたれてみる。  柵に全体重をかけ身体を預ける。  梗は何も言わずに俺に着いて来る。    少し不安が和らいでしまう。  こいつの行動はどこか俺を安心させる。    こんな仏頂面でもやっぱり大好きで。      「あ…」    ふと梗が声を発した。    「ん?」    その声に俺も反応し前を見れば  一羽の鳥が目の前で翼を広げていた。    「ほら、おいで」    なんとなく呼んでみた。  両手を伸ばし満面の笑顔つきで。  これでコイツもイチコロだぜ?    なんつって。      ――ぐらっ。    視界が歪んだ。      「うわっ?!」    今まで以上に強い風が吹いた。  俺の全体重は前にかかっている。    こんな風に抗えるはずもない。    あぁ、落ちるのか。      
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