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「それがね、全然来ないんだ。一回、話をしてみたいんだけどね。やっぱりここに来て欲しいっていうのは酷だったかな。ここ、おじさんの家だし。僕はこんな体だし」
町に僕が住めない理由、それは僕の体が鮮やかな緑色をしているからだ。非国民以前に「化け物」呼ばわりされる。僕の体を調べて植物細胞が大半を占めていると言ったのもおじさんである。
動物にはないはずの葉緑体が僕の中にはあり、細胞壁があるから硬質化している。ところどころ動物細胞があるため、体は人間と同じように動く。
この体を始めて目にした時、おじさんは面白い、と言って喉でククッと笑った。
「俺の家だからだって? どういう意味だよ。お前はわかってない。わかってないねぇ。お綺麗だなんだって飾っても汚ねぇもんは汚ねぇの。綺麗事言って他人に石を投げる奴等よりも、お前の方がまっとうで味があるように見える。
小汚ないもんのがお綺麗なもんより味があるだろ。それにお前が町に出たらまた痛い目みるし、彼女と一緒にいたら彼女も化け物扱いだ。
だから俺様がわざわざ気を聞かせて大事なお手紙を届けてやったわけだ。
お前が町におりたこないだだって……」
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