『南国』 聡美と出会うまで

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 那覇空港から車で約1時間30分──  海岸沿いに建つ、巨大なリゾートホテル『B』へ到着。  今回の旅ではこのホテルへ宿泊する予定となっており、最後の仕事・納品書へのサインをいただく前に仲宗根さんからチェックインを勧められたが、 「まずは、サインを頂戴して、心から落ち着きたいのです(笑 そうでなければ、美しいお部屋も景色も空気も、目に入りません」  俺はわがままを言って、事務所へ通してもらい、まずは仕事を終らせた。  さすがに由緒あるホテルだけあり、俺が今回来訪することを末端のスタッフまですべて行き渡っているようで、すれ違うスタッフから、 「吉川様、今回はありがとうございました」  と頭を下げ続けられる。  サテンの生地で繕った清潔な制服が、とても美しくさわやかだ。  部屋でしばらくくつろいだ後、砂浜へ降りた。  パウダーのような細かい砂が、足を踏み出すたびにまとわりつき、そして落ちてゆく。  海岸線をゆっくりと歩き、途中で見つけた大きな流木に腰を下ろした。  シーズンから外れているせいか、人影はほとんど無い。  波の音──。  沈みはじめた太陽が、徐々に空を赤く染める。  常にパソコンに向かい、電話の対応をし、部下の制作物をチェックし、来客があれば笑顔で出迎えて打ち合わせ…まるで激流のような東京での日常が、遠い世界の出来事のように感じられる。  そして、夜──
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