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「違う!! そんなの理由になっていないし、理由にしてはいけないのッ!! 私は、私は……抑止力の存在なのよ……人間である君が、私を生かそうだなんて…………」
校庭に泣き崩れながら、叱咤と否定と、拒否の言葉を並べてくるが。
何故、怒られなければならない。
何故、否定されなければならない。
何故、拒否されなければならない。
だって君はいつも、口癖で言っていたではないか。
「『人が平等に与えられたのは寿命と死。つまり期限と終わりなのよ』は、霧桐の言葉だったよな。なら、桜が芽吹くまでを終わりにした期限がある君は、抑止力の存在だとか言う前に1人の人間だろ!
俺と君、一体何が違うんだ! 不慣れな街に迷って泣きそうになった感情、花火の綺麗さに感動して楽しんだ心、後夜祭のダンスで手を繋いだ時の恥ずかしがった気持ち、初日の出素晴らしさに感嘆した思い、それが一体俺の何と違うんだッ!! 違わないだろ、何も!
抑止力の存在だとか俺は知らない。俺は君と別れたくなんてないから、霧桐 陰璃との日常を失いたくないから、終わりの期限なんていくらでも延ばしてやるよ!」
世界の終わりを回避する方法など見つけられなかった自分が、君との生活を続けられる為に出来得た行動。それを叱咤も否定も拒否なんかもさせない。
だから叫んだ、人間らしく感情のままに、君への気持ちを全てさらけ出して。
校庭に響き渡った俺の言葉。それに何も言い返さず、流れていた涙が地に滴るのが止まり始めたら、崩れていた体を立ち上げてから。
「………………これ、先生にバレたら停学ものだよ足利君。その覚悟があってこんな行動に出たの」
「停学くらい別に構わない。それで君が居続けてくれるのなら」
「まったく、足利君にはいつも呆れさせてくれる。停学をものともしない行動力は、少しは別の物に傾けられなかったの。
あと街案内も花火大会もフォークダンスも、初日の出の時だって足利君が強引に誘ったわよね。呆れてたのよ、貴方の強引さ加減に。……でもね、今では悪くなかったって思っているの」
いつもの、いつもの口調と表情が戻っていた君は、少し可笑しそうに微笑みながら昔を懐かしんでいて。
くるりと、桜の方を見て俺に言う。
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