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「ああ、もう準備が出来たのかな」
「はい、もう玄関でパパさんを待ってますよ」
「そっか・・・あ、ちょっと止まってツボミ」
「はい」
僕の言う通り、一時停止するツボミの首もとに手を伸ばす。
ネクタイが曲がっていた。
直してやり、自分も鏡を見て確認する。
やっぱり慣れないな。
黒いネクタイと背広、白いシャツ。
地味なのに、コントラストが目に痛い。
「あ、もういいよっ」
「はい」
瞬きすらせず固まっていたツボミを鏡越しに見て、慌てて命令解除する。
ツボミが本来は必要無いフェイクの瞬きと息をして、動き始めたことを確認した。
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