夢幻の人

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それなのに、僕は残され、 生き長らえてしまった。 そして、僕と同類、 彼女に取り残された、 娘。 小さな手は、 彼女の暖かさの生き写しだった。 ああ、生きている。 彼女は、娘の中で、 ひそやかに息をしていたのだ。 音は捕らえられない、 触れて感じることも出来ない。 けれど僕は、 確かに娘に彼女を思えたのだ。
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