もうかれこれ10年前の話。

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玄関を出て、不動産屋さんはしきりに母に契約を迫っていました。しかし母は断り続けていました。ちなみについて来た祖母は私達の車の中から出ては来ませんでした。 そして母は不動産屋さんに行ったのです。 「あんた知らないって思ってるでしょ?ここで首つった爺さん二人もいるじゃない。なんて物件紹介してくれてんのよ。」 全く意味が分からない私は「何が?!何が?!」と母に詰め寄ると母は駐車場を指さし、 「ここで吊ってる。元はここ物置でしょ?自殺があったから壊してとなりに物置を建てた。そういうこと。契約はなかったことにして。こんな家にいたら住んでる人みたいにおかしくなっちゃうわ。」
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