〔始めに〕

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【短い間でしたが、お世話になりました。】 などと、いきなり唐突ではありますが… このお話の主人公は、たった今、勤務先に辞表を提出したばかりの若き青年。 その主人公の名は、長谷川英幸。 平成生まれの22歳独身… 彼は本日をもって、3年間勤めた会社を辞め、アテのない旅に出る事になります。 時は平成の大不況。 この不景気なご時世に、やっとの思いで就職する事が出来た会社のはずなのに… それを自ら望んで退職するなんて、もったいない話…誰もがそう思うでしょう。 ただ… 彼は少年時代から、根っからの世渡り下手。 それを証明するかのように、入社後僅か2年勤目にして、既に職場では上司や同僚にまで見限られる始末。 更に3年目の今では、若くして早くも窓際に追いやられ、リストラ予備軍へと成り果て… そんな彼が、ある日不思議な夢を見たようなのです。 その夢の中で、ある人物に出会い、何やら将来へのお告げを聞いた彼。 それは、現在のツマラナい生活を変える為の助言だったようで… そして彼は、そのお告げのままに行動するべく、仕事を辞めるに至ったようなのです。 そのような無責任なお告げをしに、彼の夢枕に立っていたのは、みすぼらしい姿をした見知らぬ老人でした。 そして…その老人の正体は何と、彼の守護霊でもある、御先祖様だったのです。 とまあ、前置きはこの位にして… まずは彼が見たという、不思議な夢を振り返り、この物語を始めるとしましょう。
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